ボンクリフェスティバル2020 アトリウムより感謝を込めて
特別な季節を過ごし、半年ぶりに劇場に足を運ぶ歓びをお客様と共有させていただいていることを、舞台上でひしひしと感じる一日でした。
あらゆる公演の開催が危ぶまれる状況下で、急遽お声掛けいただいたアトリウムのステージ。初演となった拙作「星筐VI」は、新しい日常に、いにしえの音楽が持つ生命力を呼び込むことを意図してのコンポジションです。
楽曲は日本最古の音楽ともいえる御神楽(みかぐら)の一節「於振」(おぶり)からスタート。山田文彦先生の美声と、この日のために誂えてくださった大篳篥の深い音色、同じくこの日、初お披露目のチタン製リードの笙の音色が、ガラス張り5階建吹き抜けの大空間に響き渡り、多くのお客様が、生まれたての響きに足を止めてご鑑賞くださいました。
まさに、私の思い描いた音の宙での皆様との出逢い〜星合〜の姿です。
奇しくも、今年のプログラムは、声を用いる作品が多く、はからずも人々の心が欲する温もり、日本音楽の基底に流れる歌心が表出していたように思います。
この特別な一日のためにご尽力くださった皆様、ここに大切な時間を重ねてくださった皆様に心より感謝申し上げます。